青きが原の戦い

 私はかねてから政府に、「電機メーカーに新DVDで行政指導を出せ」と述べてきた。新DVDとは青色レーザーを使用した新世代DVDのことです。
 提言内容は、「東芝陣営とソニー陣営が新DVDを製造する場合は、両方の方式の再生機能を持たせよ」という提案だ。
 再生で両方式が可能なら、消費者がどちらの方式の新DVDの録再機を購入しようが、再生では困ることはない。レンタル新DVDがどちらの方式に決まっても大丈夫だ。
 また製造コストも、再生だけ両方式のメカニックを搭載するのは大してコストアップにはならない。
 また政府がこの提案をメーカーに勧告すれば、両陣営のメーカーは、真剣に話しあい、より安いコストで再生コンパバチブルのメカニックを製造するアイディアを出すだろう。
そして両陣営は録画方式で競えばよい。消費者がトータルで優れた方式を選び、やがて数年後にどちらかが淘汰されるだろう。
 しかし仮に淘汰された陣営の機械を購入した消費者でも、何ら不便を負うことはないのだ。
 政府がもたもたしてるものだから、HD方式の東芝陣営は、今年の春に5万円程度の再生機の販売を決めた。ブルーレイ陣営も夏には再生機の発売を決める。
 もう両陣営の話し合は不可能となった。これでどちらかの方式の機械を購入した消費者が、レンタル映画の再生が出来なくなるのだ。レンタル映画のみならず、知り合いが録画した新DVDも、方式が違っていたら再生不可能だ。
 この手の悲劇は昔にもあったらしい。いわゆる世に言う「録画原の戦い」だ。現在のビデオテープ規格はVHS規格だが、ソニー陣営は独自にベータ規格を製造販売した。その機械を買った消費者は、レンタルビデオ規格がVHSに統一されたため、レンタルビデオの再生が出来ず、ほとんどの購入者は機械を破棄したという。
 あの「録画原の戦い」の悲劇をもう一度再現しようというのだ。馬鹿げたことだ。今度の戦いのネーミングは「青きが原の戦い」と呼ぼう。青きが故に起こった板=原での戦い、の意味です。
 たった2、3千円以内のコストアップで、両方式の再生が可能となったものを、政府の無策で、将来どちらかの陣営の消費者とメーカーが、何百億円もの損害を出すのだ。
悲しい「青きが原の戦い 」の結末ではないか。