日本の音楽事情

音楽にしろファッションにしろ、個人の好みだから、好きなものを聴いたり着たりすればよいと、一見思われがちだ。ところが実際は流行の流れが、個人の好みをリードし、多くの人は流行に飲み込まれる。
日本の音楽の流行は戦後は、ほとんど欧米の流行を辿ってきた。言うまでも無く、演歌、フォーク、ロック、ポップスと大衆の心をつかんできた。しかしここの所異変が起こっている。アメリカではロック、ポップスからソウル、ヒップホップと流れを形成した。去年の年末の一時期、ビルボードのトップテンのすべてが非白人系のシンガーによって占められたほどの隆盛である。ところが日本では、ヒップホップの散発的ヒットがあるものの、主流はポップス、ロックである。(クラシック、演歌、ジャズなどには固定ファンがあり、それなりの新譜がだされているが、あくまで流行の観点から述べています。)
日本がアメリカの後を追って、ソウル、ヒップホップに向かわない理由を挙げれば。
1:日本の音楽界をリードしている(CDを多く買っている)のが若者層である。彼らは、大人っぽいといわれるソウル系に入りにくい、と思われている。
2:日本ではカラオケの人気要素が大きく、カラオケで歌いにくいソウル、ヒップホップが大衆化しない。
3:日本の音楽界で、作曲、編曲、作詞陣が、現在の主流のポップスに固まったおり、不得意なソウル、ヒップホップを阻止したい流れがある。あるいは手がけようとしても、上記の1、2の理由で流行しないので手がけにくい。
4:実力のある歌手が音楽界のトップに躍り出るチャンスが少ない。(売り出したい歌手は、既存のデビューコースを辿らざるを得ず、勢い現状肯定路線に固定化されてしまう。)
以上の要素が絡み合って、ある意味日本の音楽流行が停滞している状況となっている。
一方韓国では、いち早くアメリカのR&B系のプロジューサーを招き、シンファ、セブン、最近ではピなどのヒップホッパーの台頭が著しい。案外日本の停滞した音楽事情を打ち破るのはわが国における韓国ブームの流れかもしれない。