無料紙とライブドア問題の今後

ニューヨークの日本人向け有料紙が、無料紙の攻勢を受け、撤退した。広告収入が無料紙にもっていかれ苦しくなったからだ。こちら日本にも無料紙の動きが出てきた。この先、新聞事情が気になるところだ。
まず現状を見てみたい。私は平均的市民だから、私の新聞、雑誌の購読状況が市民平均だと思えばいい。新聞は朝刊紙を購読している。夕刊紙は取っていない。夕方のニュースはテレビで見られるし、休刊が多い、などの理由で取ってない。雑誌は、定期購読は無く、情報誌やスポーツ誌は立ち読みで済ませている。
日刊紙の朝刊をやめようかと考えたこともあったが、テレビでは得られない情報が朝刊にあるから現在も購読している。
人は情報さえ得られればいいというものではない。地下鉄の中で読むとか食事後に読むとか、こちらの都合のいい時に読みたいのだ。無料紙が駅などで配られたとしても、紙面の内容からして部数は限定的だろう。しかしタダだからそれなりの部数は出るだろう。無料紙の収入は広告だから、一般紙の占める広告費は低下し続けることが予想される。
さて他の媒体だが、見たい時に見られ、幅広いニュースが得られるという理想の情報取得形態の一つは、NEC系のプロバイダが提供している動画配信がある。他でも動画配信は見受けられるが、ここがベストだ。見たい項目をクリックすれば動画として流れるから理想的だ。画像の粗さは無料だから我慢しよう。プロバイダ契約料を無視すれば、情報料としてはタダだから、とても助かる。
時事番組やバラエティーはテレビ放送を録画したものを、好きな時間に再生すればよい。
この辺の事情は、素人の私でも分かることだから堀江社長も同じことを考えているはずだ。「このままではNECに水を開けられる」と思っているはずだ。かといって一から立ち上げていては時間とお金がない。手っ取り早くフジテレビを支配すれは可能と踏んだわけだ。
しかし堀江さんの計画には穴がある。それは、ライブドアがフジテレビを手に入れたと仮定して、ライブドアが伸びると反比例してフジテレビの広告収入が減るという関係だ。共食いして、結局トータルで変わらないことになる。堀江社長のやってることを分かりやすくたとえれば、コンビニの社長の堀江氏が、デパートを買収するようなものだ。あり得ない。コンビ二の社長の目指すべきことはデパートへの総攻撃あるのみだ。(なんとわかり易い例えだ!)
インターネットの広告収入がラジオのそれを抜いたが、伸びた分減ったのは新聞だ。新聞はテレビ局の親会社がほとんどだから共食い関係は変わらない。
だからフジテレビを支配におくのではなく、ハードでは使えそうな通信会社を買い取り、ソフトでは潰れそうな新聞社を買えばよい。そして既存のテレビ局を叩きのめせばいいわけだ。それが正しいインターネット企業家の戦うポリシーだ。
かってマードックテレビ朝日を買収しようとして、途中でリベート稼ぎに切り変えた例がある。今度の騒動もそうなる。間違いない。孫さんが再び顔を出して来たのも納得だ。
堀江社長に提言しよう。フジテレビなんて手に入れてもお荷物だ。放送法にがんじがらめで、総務省の役人にヨイショするなんて面白くもなんともない。自分で立ち上げることだ。苦労はあるがそれしかない。潰すべき会社を買ってどうしょうというのだ。ここは今回のドタバタで300億円ぐらい稼いで、自分でやればいい。
かって堀江社長が「現在の地上波デジタル放送は要らなくなる」と発言した。一見意味不明だが真意は何か。案外堀江社長の考えを表している。
まずデジタル放送は従来のテレビと同じ帯域幅を持つ。一方インターネットは、光ケーブルであれば、同等以上の通信速度がある。アクセス容量さえ増やせば同等の通信設備と言える。画像の綺麗さは、電波放送が、放送するためにNTSC方式(現行のテレビ放送規格)を採用しているから不利。インターネットが遥かに有利だ。維持費も遥かにインターネットのほうが安く済む。堀江社長が、コンテンツはフジテレビが制作し、電送をライブドアが受け持つことを言っているようだ。だったらそれは既にCATVがやっている。
問題は報道部門だ。フジテレビを買収すればニュース全体を手に入れられると考えるのは間違いだ。関東のニュースソースを手にするだけだ。地方のニュースは地方の媒体が握っている。それにテレビ局の報道部といっても主要なニュース原稿は提携している新聞社からの垂れ流しだ。報道に関しては、フジテレビを手に入れても、ほんの一部分を手にすることにしかならない。
堀江社長の描く将来図は一見すると合理的のようだが、現在のドラマなどは制作会社が制作している例が多く、わざわざフジテレビを買収する必要はない。ニュースについては確かに全国に張り巡らされた報道ネットワークは既存テレビ局の貴重な財産だ。しかし地方テレビ局はフジテレビとは別会社だ。関東以外のニュースは有料になるから、このメリットは限定的。
結局、地上波デジタル不要論は、「ライブドアの動画配信がフジテレビのネットワークを流用できるようになり、同じ内容を放送する地上波デジタル放送は不要だ」との根拠だ。視聴者から言わせてもらえば、地上波デジタルであろうが、インターネットであろうがどっちだっていい。やっているほうを見るしかしょうがないじゃないか。が結論だ。
私の大胆な予想をしよう。結論はライブドアはフジテレビを買収しない。ニッポン放送株は値段も安く、またフジサンケイグループに発言がきくし、奇跡的に手に入れた株だから持ち続けるだろう。だからフィクサーの提案のような「ニッポン放送株を提供して、フジテレビの共同経営グループに入る」のプランには乗れないのだ。乗ってしまったら、ライブドアはCATVの役割を負わされるだけだということがわかりきっているからだ。
ライブドアの今やるべきことは、自分のところのブロバイダページをもっと充実させるべきだ。NEC系のブロバイダページに較べると見劣りが大きい。ほかの業者も必死だ。
金融は魔物だ。はっと気がついたら、ライブドアのコンテンツがエログだけだった、ということにならないように。私からの温かい助言だ。