輸入牛肉問題

今回のアメリカ産輸入牛肉問題、大詰めに来た。というより日本政府の場あたり政策が手詰まりに来たとも言える。
アメリカやカナダの大手畜産業者は、牛を広大な牧場で飼育する。雨の日も夜間もほったらかし。牛にしてみたら豊富な草を食べ、自由に移動できるからストレスは少ない。余談だが私がアメリカの牧場を見た時、牛の習性だろうか、一斉に怪しいものを見る。何千頭もの牛が一斉に私を見た。目に余る光景だった。
アメリカには約1億頭の牛がいる。一日10万頭の牛が処理されているが、大体20ヵ月以下の牛に限ると決めたが、どうやって区別するのか曖昧だ。仮に1%の誤差があるとして、1日何百頭もの20ヵ月以上の牛が紛れ込むわけだ。
アメリカは、イラク進攻のときも述べたが、理念の国から覇権の国に変わっている。理屈よりも自国の利益を優先させる国になった。そのことは小泉政権が1番知っていることだ。
BSE問題が発生した時点で、今日の状況は予見できた筈だ。全頭検査を原則に置けば、アメリカは出来っこないから、当然今日の状況になる。そして腹の片隅に、国内畜産業の保護に有利になると思っていた筈だ。
オーストラリア産の牛肉は検査体制が完全だが、日本の輸入枠は対前年比の輸入枠だ。昨年比10%程度の増量しか認めないから、量に限りがあることも承知の上だ。
おかげで日本の消費者は以前に比べ約3割高くなった牛肉を買っている。本来BSE問題が起こりアメリカ産牛肉がストップしたら、その分オーストラリア産牛肉を輸入するのが価格安定からベストだ。
またはアメリカがいつかは強行な態度にでることは分かっているから、例えばアメリカから、船で生きた牛を輸入することだってできた筈だ。船は1か月かかるから船内で検査ができる。
もしアメリカ産牛肉が、検査体制も曖昧なまま輸入再開するなら、オーストラリア産牛肉だって、対前年比枠をもっと増やすことだってできる筈だ。
原則も何もない政府は大海の難破船だ。そればかりか、日本はリップサービスばかりで、正直にものを言わない国民だと思われてしまう。
アメリカ牛肉の安全確保が仮に出来たとしても、もうひとつの対前年比問題がある。昨年はほとんどアメリカ産牛肉を輸入していなかったから、本年度分の輸入枠はほとんどない筈だ。その対前年比枠まで例外処置でごまかしたら、日本はオーストラリアにどう説明するのだろう。
もし日本がアメリカを本当に大切な国だと思っているなら、こんな曖昧な態度はとらない筈だ。
ひょっとして日本はアメリカをわけの分からない国だと思っているのではないか。そう思えてならない。