民主党は市民本位を貫け

民主党は昨日の宮城2区と福岡2区の衆議院補欠選挙自民党に敗北した。予想された結果だ。
今なら民主党の再生が時期的に間に合うと思うから、あえて民主党に提言したい。敗北の原因は、ずばり民主党が最近、市民本位から支持母体重視へとスタンスを変えているからだ。その代表的な行動は道路公団民営化論の中で示されてしまった。
今まで、民主党は高速道路建設で不要な高速道路は造らない主義だと思っていた。そしたら裏では、予定されたすべての高速道路建設に賛成しているではないか。民主党は不採算の高速道路は造らない、というスタンスだと思っていたら、諮問会議では、全ての高速道路を造ることに賛成しているではないか。あの裏切りは民主党不信に繋がった。
ああいうことが一度でもあると、もう信用できないのだ。これからどうぞ支持母体の意見を尊重して、好きにやってください、と言うよりほかになくなってしまう。
小泉政権の支持率が高いのは、小泉さんは(国粋的部分はあるにしろ)結構市民本位のスタンスがあるからだ。
民主党年金問題に対する、率直な提言は評価を得ている。しかし、多くの人がただ一つ心配なのは、財源の消費税アップだ。サラリーマンの心配は、消費税は上がり、今まで払っている年金額がそのまま変わず払わされたら…、の心配だ。勿論民主党の案ではサラリーマンの年金支払額は減ることになっているだろう。しかし政権を持っているのは自民党だ。そうならないとの保障はゼロだ。
自民党にとって、民主党の提案ほど有難いものはない。消費税のアップは民主党の提案だ、と言い逃れでき、しかも年金収入がアップできるわけだから、タナボタ以外の何物でもない。
だから、年金問題で、民主党が選挙のマニフェストで掲げるのはいいが、自民党との年金協議に乗ったら、いいように利用されるだけだということが分からないのだろうか。それとも自分たちの(民主党の)年金スキームがそのまま実現するとでも思っているのだろうか。
結局、民主党年金問題自民党に擦り寄っているのは、支持母体の要請だからだ。決して市民のためではない。
もともと支持母体の労働組合団体は、経営者ではなく労働者だ。労働者は経営者に適当にタテついて労働条件を上げてもらうのが本性だ。決して自分から経営はしないのだ。それを政党に当てはめれば、政権与党に適当にタテついて、そこそこの実入りを得ることだ。
その意味からも、民主党が政権を本当に奪取することを望むなら、市民本位にならないと原理的に矛盾するのだ。民主党が市民本位にカジ取りしたとしても、支持母体の労働組合団体は、民主党支持を止められない。いまさら共産党とか社民党にはいけない。だから心配することは全くありませんのだ。
小泉政権は 自民党単独過半数を割ったから誕生した。だから市民本位の姿勢を持った、自民党らしからぬ小泉政権が、偶然誕生した。しかし市民本位の姿勢が評価され、支持率が高い。一方民主党は、現在の支持率を、過去と比較して、良くなったほうだと評価している。決して危機意識にはなっていない。そしてスタンスも、市民本位の指導者を選ぶところまでいっていない。
だからこのままでは、いつまでたっても民主党は万年野党だ。
市民本位といっても、純粋な市民本位政権なんてありっこない。自民党でいえば族議員市民派の小泉さんの足を引っ張っているし、民主党でいえば、市民派感覚の指導書がいたとき、労働組合団体はその指導者の足を引っ張ったであろう。結局妥協があるのだが、それでも市民派指導者が先頭で旗を振り続けている姿を見せることが大事なの。
民主党議員の皆さんはここのところを良く考えて、指導者選びにあたってほしい。ゴールデン・ウイークを前にした私からの温かい提言です。
ぜひ民主党議員のレスをお待ちしています。


05年4月28日、追記
同文章を「民主党参議院議員・ふじすえ健三氏のウエブサイト」にコメントしたら、同氏のレスがありましたのでここに転載します。なお同氏のウエブサイトURLはhttp://www.fujisue.net/index.htmlです。

矢島さんBLOGを拝見しました。すごい内容の充実ですね。私もがんばらないといけないと感じます。
さて、私も同感です。まず民主党は、
①きちんとした看板を出すこと、私は昔使った「市民が主役、民主党」が分かりやすくいいと思っています。
②政策は、政権とってからやればいいと思っています。年金は、私も自民に塩を送っただけだと思います。
今回の補選で「民主党自民党の政策の違いが分からない」と言われました。これではまずいです。「民主党は、今までの既得権益が邪魔してできないことをやる」という単純なくくりを作るべきだと思っています。
矢島さん、がんばって、数年で党の政策つくりの中心に入ります。応援くださいね。
投稿者 ふじすえ : 2005年04月28日 05:49