世界の技術の流れを占う

最近の注目を集めた出来事から、世界の技術の流れを占いたい。
結論から述べると世界の技術の主流は日本、中国、韓国のJCK三国主導体制が確立する様相だ。
広く見ればJCK三国を中心にインド、マレーシア、台湾などのアジア諸国が三国を下支えする形をとり、一層JCK体制が確立すると思われる。
そのことを証明する、最近のトピックスは、「ソニーの凋落」、「ボーダフォンの衰退」、「F1でのミシュランタイヤのズッコケ」だ。三件のトピックスはいずれもアメリカ、ヨーロッパ経営者の能力不足をさらけ出した。一つずつ概見しよう。
まずソニーの凋落だ。原因は経営陣にアメリカ経営者が参入したからだ。アメリカ経営者は短期の結果を期待するから、勢い技術投資を控える傾向にある。結果として製品の魅力が薄れ、利益が落ちることになる。
その代表例がテレビだ。薄型テレビの技術投資が遅れ、韓国からのパネル輸入でしのごうとしているが、安売り攻勢の波をまともにかぶり衰退するだろう。デジタルカメラキヤノン、カシオ、フジの好調とは反対に苦戦中だ。
次にボーダフォンだ。前身のJフォンからヨーロッパの経営者に代わってから散々な結果だ。今やボーダフォンの戦略は値下げ戦略一本。この戦略が破綻することは目に見えている。もしボーダフォングループにシャープのSH製品の参加がなかったら、今頃ボーダフォン・ジャパンは消滅していただろう。
原因はボーダフォンの経営陣だ。彼らには技術が何たるか、の基本が分かっていない。問題外だ。
次にF-1のミシュランタイヤだ。何とも恥ずかしいことを世界に曝してしまった。事情の知らない方に説明しよう。先週、F-1のアメリカグランプリが開催された。場所はインディー500で有名なインディアナポリス・サーキットだ。ここは高速サーキットで有名だ。
このサーキットで、我が日本のブリジストンタイヤは高速対応のタイヤを持ち込んだ。しかしもう一社のヨーロッパのミシュランタイヤは高速対応のタイヤがないのだ。
恥ずかしいことに、ミシュラン勢は全車棄権した。私の応援するバトン選手も涙を飲んだ。
レースはブリジストンタイヤを装着する6台で争われた。レース結果はもうどうでもいい。
このことはヨーロッパタイヤの完敗を意味する。日本の完勝だ。 ミシュランは恥ずかしさで頭を下げた。そして50億円を払い、全費用をミシュランが持って再度、秋にインディアナポリスでレースをやろうと提案した。
恥の上塗りである。本来はレースに参加して、びりでもいいから走り切るべきであった。(テレビドラマ/エンジンの結末のように。)そして技術不足を噛み締め、明日から再生に向け技術開発にとりかかるべきだったのだ。
以上の例で分かるように、アメリカ、ヨーロッパの経営者の情けなさは例を上げたらきりがない。勢い今後日本、中国、韓国のJCK体制で世界をリードすることになろう。日本は三国のまとめ役を果たし、更なる技術開発に邁進しなければならない。
小泉総理のようにJCK体制にそぐわない方は、遅かれ早かれ時代が彼を消滅させるだろう。
ただ世間に、外人経営者の誤解がまだある。日産のゴーンさんの評価だ。彼は日産の不効率体制を正常にした。しかし技術開発で成功させた訳ではない。日産はもともとホンダ並の実力があった。しかし不効率体制で赤字になったところへゴーンさんが乗り込み、不効率を是正して、元のホンダ並に戻しただけである。
彼もそこのところを理解していて、不効率体制がホンダ並になったところで退陣した。彼の判断は正解だ。
結論としては、アメリカやヨーロッパの経営者が日本の企業のトップになると、駄目になるということだ。
さあ時代はアジアだ。私達も胸を張って世界と対話したい。アジア諸国と手を取り合って邁進しなければならない。中国は共産国だから気に入らないとか、韓国は昔植民地だったから同等に見られない、といった古臭い思想の持ち主は、この際もう一度考え直して欲しいものだ。